大阪大学クラウドファンディングの5つの素晴らしい理由
新型コロナウイルス感染症の暗いニュースが続くなか、興奮するような瞬間に出会いました。
- リリースからわずか2日で200%達成!
- その1:成功要件を全て満たしていること
- その2:地元企業との共同プロジェクトであること
- その3:大学&医療プロジェクトであること
- その4:CF1/3の法則
- その5:SNSでの拡散力
リリースからわずか2日で200%達成!
大阪大学でフェイスシールド(顔面防護具)のフレーム量産のためのクラウドファンディング(CF)を開始した、とファンドレイザー吉田さん(大学チャプター共同代表)から教えてもらったのが、昨日の4月20日。
今日(4月21日)の昼間に、改めてサイトを拝見しました。
目標額500万円。昼頃の時点で目標額の99%。2日目にして既に100%に到達しそうな勢いです。私も少額ながら寄付させていただきました。
で、寄付の申し込みを終わり、100%にいったかな、という思いでサイトを覗いたら・・・
何と、160%に跳ね上がっているではありませんか!
そして夕方には、200%も超え、寄付者は670人(4月21日17:10時点)。単純に寄付者数で割ると、平均寄付額は約15,000円!
それにしても、応援コメントを拝見するだけで涙が出てきそうになるほど感動しています。寄付されたお一人の気持ちが伝わってきます。
認定ファンドレイザーの立場から、ただ「感動した」ではなく、今回のCFの素晴らしい点を5つ挙げてみました。
その1:成功要件を全て満たしていること
昨年夏の勉強会「研究クラウドファンディングの理論と実践」で、モデレーターの高橋さんから学んだ成功しやすいプロジェクトの要件をおさらい。
CFで成功しやすいプロジェクトとは。
- 背景や経緯にストーリーがある
- 社会的ニーズがあり、受益者が具体的に見える
- 成果物ができる(ハコモノ、イベントなど)
など。
今回のプロジェクトに当てはめてみます。
- 背景や経緯のストーリー・・・新型コロナウイルスの急速な感染拡大により、治療にあたる医療従事者の防護具が不足している。身近なクリアファイルと、3Dプリンターで作成したフレームで顔を保護するフルフェイスシールドを開発し、データの無料公開を始めた。量産できるように地元企業の協力のもと、金型を製作したい。実際の量産に際しては、すでに複数の金型製造業者、プラスチック成形業者が、採算度外視で協力を申し出てくれている、というストーリー。
- 社会的ニーズと受益者・・・医療現場の防護具の深刻な不足について連日報道されており、全国の医療従事者に早急に必要とされている。また「医療従事者のいのちを守らなければ、患者さんのいのち、あなたのいのちは守れません。」というメッセージから、受益者は医療従事者のみならず自分自身も、ということが切実に伝わる。
- 成果物・・・写真から、既に製作されたフレームがどういうものなのか、また動画から、クリアファイルと組み合わせてどのようなフルフェイスシールドが完成するのか非常にわかりやすい。
その2:地元企業との共同プロジェクトであること
上の項目でのストーリーにもありますが、大学は、研究成果(データ)を無料で公開する。複数の地元企業の方が採算度外視で協力する。
こうした利他的な共同プロジェクトが、大阪の地元企業で行われている、ということで「大阪がんばれ」という応援も含まれていることが見受けられます。
その3:大学&医療プロジェクトであること
大学には卒業生が、病院には患者さんがいます。
今回、「大阪大学の卒業生」「病院でお世話になった」という方からの応援コメントがありました。
そして何より、未知なことが多いウイルスとの闘いの最前線に身を置かれている全国の医療従事者に向けての感謝の言葉が多く寄せられています。
その4:CF1/3の法則
勉強会の内容をおさらい。
目標金額の1/3は第一次支援者(コア支援者)、1/3は第二次支援者(既存・知り合い)、1/3はマス大衆。
吉田さんから伺いました。大阪大学ファンドレイザーの皆さんが、過去の寄付者などに個別に連絡して、拡散&寄付のお願いに努めている、と。
まずは日頃から支援してくださっている方に、今回のプロジェクトについても個別にお願いする。ファンドレイジングの基本手順に沿って真摯に取り組んでいることを拝察しました。
その5:SNSでの拡散力
「拡散」という言葉自体があまり好きではないのですが、思いつかなかったためひとまず。
「過去の寄付者」のお一人が著名な方でした。
阪大からクラウドファンディングの依頼がきました。すぐにポケットマネー振り込みなう。
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2020年4月21日
担当の偉い人にフェイスシールド試作品をすぐに僕に送ってくれるよう要請。
1号は吉村大阪府知事に届けます。吉村知事、すぐに装置してくださいね。https://t.co/vBujkuV77P
高須さんは大阪大学相撲部に土俵を寄付されたことがあり、今回も寄付をお願いしたところ、快諾されたそうです。続けて、大阪府知事もこれを受けて。
高須先生、阪大へのご寄付ありがとうございます、なう。大阪府でも府内のものづくり企業に3Dプリンターでフェイスシールドが量産できないか打診して話を進めています。今後ともご協力よろしくお願いします、なう。 https://t.co/E8nRrKurpy
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) 2020年4月21日
そして高須さんのツイートの内容がYahoo!ニュースに。
「CF1/3の法則」、勉強会では第一次支援者に30日、第二次支援者に30日、第三次支援者に30日(が成功の法則)と伺っていたのですが、これが一気にたった2日間で実現した、ということになります。
まだ開始して2日目。残り52日ありますので、どこまで伸びるかこれからも注目していきたいと思います。