大学関連クラウドファンディングの事例研究(夏の自由研究)(2)

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前回の続きです。

 

  

(1)クラウドファンディングのプラットフォーム会社と連携

academist(アカデミスト)

日本初の学術系支援(研究費獲得)に特化したクラウドファンディングサービスとして2014年にスタート。2020年3月現在、10大学・研究機関と連携しています(連携している大学等のリストは確認できませんでした)。

以下は成立したプロジェクト事例。

愛媛大学「光を『保存』できる新物質を開発したい!」

琉球大学「結核の新たな治療法として「免疫療法」を確立したい!」

campfire(キャンプファイヤー)

日本国内最大のクラウドファンディングサービスでオールジャンルを扱っています。確認できる範囲で大学との連携は下記の2校でした。

(2)クラウドファンディングのプラットフォームにてプロジェクトを展開

MAKUAKE(マクアケ)

圧倒的なユーザー数を誇りますが、購入型のためか大学関係のプロジェクトはあまり多くないようです。

GoodMorning(グッドモーニング)

CAMPFIREから分社化。社会課題解決に特化したクラウドファンディングを展開しています。大学生発信のプロジェクトを多く見かけましたが、成功率はあまり高くない印象を受けました。

以下は成立したプロジェクト事例。

セキュリテ

ファンド投資型クラウドファンディングがメインですが、貧困や地方創生といった社会問題を解決するための寄付型クラウドファンディングも扱っています。

以下は2020年8月現在実施中のプロジェクト。

motion-gallery(モーションギャラリー)

クリエイティブな活動の資金調達に特化しているのが特徴。大学生発信のプロジェクトを探しましたが、検索の仕様上、大学関係のプロジェクトを見つけるのに苦労しました。

以下は成立したプロジェクト事例。

finan=sense.(ファイナンセンス)

資金調達とデザインの融合が特徴。応援グッズ購入型。2017年度以降の新規のクラウドファンディング募集はないようです。

(3)大学・大学関連団体がクラウドファンディングのプラットフォームを立ち上げ


OTSUCLE(おつくる)

クラウドファンディングのサービスなどを学内外に提供する一般社団法人「大学支援機構」が徳島大学により設立されました。大学の研究・教育関連のプロジェクトが多いのが特徴。徳島大学以外にも、鳴門教育大学香川大学広島大学のプロジェクトがあります。

東京大学基金

東京大学基金は19年7月サイトを大幅リニューアルし、全ての基金プロジェクトにクラウドファンディングのプラットフォーム機能を搭載しました。

www.u-tokyo.ac.jp

 

筑波フューチャーファンディング

筑波大学卒業生により一般社団法人「筑波フューチャーファンディング(TFF)」が設立され、「筑波大学の学生・教員・卒業生のプロジェクトに特化したクラウドファンディングサービスをスタート。なお2019年度以降、新規のクラウドファンディングプロジェクトは無いようです。

 以下は成立したプロジェクト事例。

まとめ

調べてみて、大小数多のプラットフォームが乱立している印象を受けました。

研究系では医療・理系分野を多く見かけたものの、文系のインパクトが弱い。今後「文系研究分野のファンドレイジング」は強化すべき分野だと認識しました。

「大学に強いプラットフォーム」を見極めて「確実に目標額を集める」。あるいは東京大学のように「自大学にクラウドファンディング機能を搭載する」。URA(大学リサーチアドミニストレーター)とファンドレイザーが協働する、クラウドファンディングを伴走するキュレーターを育成する、といった将来性ある課題が浮かび上がりました。 

大学生発のプロジェクトでは、支援額0円で終わるものを見かけました。大学生が「プロジェクトを成立させるために必要なステップ」の基礎知識を得るだけで成功率が上がるように思えるのですが。

大学チャプター勉強会でも深堀りしたいテーマ。今後も大学関連クラウドファンディングの動向に注目していきます。

www.jfraac.org