ブーツ・オン・ザ・グラウンドー"Boots on the ground"

前回の記事で、アメリカのホットライン211のサイトを見ていた時。

日本語翻訳サイトで「私たちは地面のブーツであり、助けを見つけやすくする地元の専門家です。」と表示され、ん?となりました。

原文は次のとおり。

We are the boots on the ground, the local experts who make finding help easier.

引用元:http://211.org/pages/about

直訳すればそうなんだろうけど、「地面のブーツ」って?

気になって調べてみることに(だんだん、本筋から離れていく・・・)。

「Boots on the ground(地上のブーツ)」とは、「戦場で実際に戦っている部隊」また、比ゆ的に派兵を意味します。つい最近、アメリカのシリア攻撃が話題となったときもこの表現が使われ、とある有名デザイナーが「ブーツ」にかこつけ自社のサンダルやパンプスを宣伝するツイートをして大ブーイングをあびました。

引用元:https://news.mynavi.jp/article/20130924-a015/

 

戦場で戦っている人が履くブーツのことを指した慣用句なんですね。別のサイトでは戦争と関連する表現のため使う時には気をつけた方が良い、という解説も見かけました。ただ社会情報サービスを提供している人々が戦争に関連した表現をするかなぁ・・・?

さらに調べていると、なるほど、という説明のサイトを見つけることができました。

興味深いことに、「地に足をつけたブーツ」という慣用句は、政治家にも受け入れられており、電話をかけたり、ドアを叩いたり、ビラを配ったりする日常的な仕事をするボランティアを意味するのに使われている。最近では、平凡だが必要な仕事をしている人たちのグループを意味するようになってきています。

原文。

 Interestingly, the idiom boots on the ground has been embraced by people in politics, and is used to mean volunteers who do the day-to-day work of making phone calls, knocking on doors and handing out leaflets. More and more, the phrase boots on the ground is coming to mean a group of people who are doing the mundane but necessary work in a situation.

引用元:https://grammarist.com/idiom/boots-on-the-ground/

 

211では自分たちのことを「(平凡だが)必要な仕事をしている人たち」と表現したんですね。

 

日本語だと、この慣用句は何になるのかなぁ・・・??いろいろ書いては消してで最終的には思いつかなくなりました・・・

 

私も(誤解されないシチュエーションで)言ってみよう。

We, members of the higher education chapter, are "the boots on the ground"!

(私たち、大学チャプターメンバーは、地に足をつけたブーツです!)

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提供者:Kristina Paukshtite

www.jfraac.org

アメリカのホットライン「211」

Coursera無料コース「COVID-19 Contact Tracing」を受講しています。

www.coursera.org

 

ジョンス・ホプキンス大学の公衆衛生研究者Emily Gurleyさんによる講座です。

新型コロナウイルスの特徴や隔離の必要性などについて、わかりやすく解説されています。

コースが進み、主に公衆衛生従事者向けに、新型コロナウイルス感染者あるいは感染の可能性がある人物へ連絡をとって必要な情報を得るためのノウハウの中で、「(連絡した相手が関心を持っている)リソースを提供しなければならないかもしれない例には、211番号が含まれています。」とあり、私の思考が停止しました。

211って??

気になって調べてみることに。

211.org

 

このサイトは自動翻訳で日本語でも読むことができます。

211とはホットラインの電話番号。

211は、United Way Worldwide(ユナイテッド・ウェイ・ワールドワイド)という非営利団体が行っている社会情報サービス。180言語をカバーし、24時間365日、電話相談に応じているそうです。扱っている情報の内容は、住居・食料・雇用・教育・ヘルスケア・薬物中毒など多様です。

 

ユナイテッド・ウェイ・ワールドワイドには、日本では赤い羽根共同募金中央共同募金会)がパートナーに加盟しています。

www.unitedway.org

 

日本語で紹介されているサイトがなかなか見つからなかったのですが、一つご紹介。

ユナイテッド ウェイはボランティア団体の集まりで、さまざまな支援活動を行っています。全米中で数多くのチャリティー活動を行い、その募金を全米中に分配します。この団体は、子供達に健康保険や歯科治療の援助をしたり、十代の妊娠問題に取り組んだり、小学校入学前の子供達を支援しています。また、2-1-1プログラムを作り、誰もが、2-1-1に電話すれば、フードバンクや、ハローワークなど地域の情報が得られるというユニークなシステムを提供しています。

引用元:http://www.crosscurrents.hawaii.edu/theme.aspx?lang=jap

 

この社会情報サービス211のカバー率。2019年現在、米国人口の約95%が利用可能、とのこと。

アメリカでは「困ったら211」、なんですね。日本にもあると嬉しいな・・・と思いました。 

 

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提供者:Public Domain Pictures

 

新型コロナウイルス対策関連の大学寄付情報について(雑感)

コロナ禍にて大学の学生支援は喫緊の課題ですが、その課題の解決のために寄付金の募集を始めている大学はあるだろうか。

そんな疑問から、日本ファンドレイジング協会大学チャプターのサイトにて、新型コロナウイルス対策関連寄付金情報の掲載を始めたのが4月26日。

新型コロナウイルス対策関連寄付金情報の掲載を始めました - 日本ファンドレイジング協会大学チャプター

それから2週間経ちました。

 

5月10日現在、掲載大学数は18大学。主に大学チャプターメンバーから情報提供を受けて、掲載しています。

掲載していくうちに「この情報をまとめておくと興味深そうだ」と思い、雑感ながら記録を残すことにしました。

 

大学の内訳

掲載したのは、18大学。内訳は、国立12、私立6。

具体的には、掲載順に、大阪大学(国)、東京大学(国)、広島大学(国)、早稲田大学(私)、東北大学(国)、島根大学(国)、沖縄科学技術大学院大学(私)、山形大学(国)、徳島大学(国)、鳴門教育大学(国)、北海道大学(国)、名古屋大学(国)、新潟大学(国)、琉球大学(国)、名城大学(私)、上智大学(私)、法政大学(私)、龍谷大学(私)。

 

なお、国立大学ファンドレイザーの方が、大学チャプターメンバーに多く登録していることが関係しているかもしれません。

寄付の使途

今回、掲載している寄付金情報の使途はすべて「新型コロナウイルス対策関連」ですが、その内容は大学により様々です。

  • 経済的に困窮している学生の包括支援
  • 学生への奨学金など
  • オンライン授業実施支援(PCやWi-Fi貸与等)
  • 学生が感染した場合の療養支援
  • 対コロナ医療支援
  • 対コロナ研究開発支援

「学生支援」が大半ですが、その内容について詳細な記述があるかどうかは、かなりばらつきがありました。

病院がある大学では「医療支援」の寄付募集も(大阪大学東京大学)。大阪大学では医療資材フルフェイスシールド専用フレーム大量生産のためのクラウドファンディングが注目を集めました。

izmy2009.hatenablog.com

さらに、大阪大学では「対コロナ研究開発支援」も使途に含めています。

緊急度では「学生支援・医療支援」のところ、ネクストステップを見越して研究開発を盛り込んでいるのはさすがだなぁと感嘆しました。

目標金額・寄付額

「緊急支援のための募金」としながらも、受け皿は既存基金の枠組み内で、としている大学がほとんどのため、目標額や(寄付者からの)寄付額について、明記されていない大学が多くありました。

明記されている大学では1口10,000円〜1口100,000円。

またクラウドファンディングを実施している大阪大学(フルフェイスシールド)、徳島大学鳴門教育大学では、3,000円〜1,000,000円のアラカルト方式。

東京大学では、サイトでは明記されていませんが、「寄付する」の画面では「10,000円、50,000円、100,000円、任意の金額」と表示されます。

募集期間

記載がない、あるいは「期間を定めていない」としている大学が大半でした。

記載している大学では、6月中旬あるいは6月末までが多く、最長で7月31日まで(法政大学)でした。

おわりに

使途内容を決めてから募集している大学と、ひとまず募集を開始して使途は同時並行で検討していると思われる大学、既存支援(奨学金等)の財源強化のために改めて呼びかけている大学など、大学によってさまざまであることがわかりました。

情報提供をいただいた大学以外の大学につきましても(多くはないですが)ちらほらを拝見しました。新型コロナウイルス対策での学生支援の具体策を発表し、それに付随する寄付金の募集について言及されていながら、寄付金サイトへリンクされていない、大学トップページから寄付のサイトが見つからない、寄付の呼びかけが学内教職員向け・・・といった大学を拝見しました。「母校では寄付を募集しているのだろうか」などと興味を持った方がスムーズに寄付受付のページまでたどり着くための、ひと工夫も大切だと改めて感じました。

 

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www.jfraac.org

 

大学チャプター交流会「『いま大学ファンドレイザーにできること』を語ろう!」に参加しました

「あのとき大学ファンドレイザーは何をしていたか。」

一年後に話し合いたいテーマとして提案がありました。

 

2020年5月5日(火・祝)大学チャプター総会後、大学ファンドレイザー交流会が行われました。参加者は29人でした。

司会は大学チャプター事務局長の木村さん。木村さんから、大学チャプターについてと、コロナ禍での大学をめぐる現状の共有について、説明がありました。

続いてグループトークの時間。

Zoomのブレイクアウトルーム機能を使い、1グループ5〜6人に分かれて話をしました。

テーマは「『いま大学ファンドレイザーにできること』を語ろう!」。30分間でしたが自己紹介をして話し始めたら、一巡ちょっとで時間が来てしまいました。

再び全体に戻り、各グループから出た話題を共有しました。

特に印象に残っているのは下記のとおり。

  • 新型コロナウイルス関連の寄付を始めた大学からは、「想定より多くの寄付をいただいている」という報告あり。
  • 大阪大学のフルフェイスシールドのファンドレイジングでは、資金提供だけでなく(発送などの)ワークシェアのお申し出もいただいた。
  • 周年事業など「コロナに関連しないファンドレイジング」をどう進めるか、頭を悩ませている。
  • 学内連携の良い機会では?学内横断的なWGが始まっている大学あり。
  • 「オンライン」←→「リアル」の差別化を図り、それぞれのメリットを活かす。
  • タイでは、在住の外国人が積極的に募金を集めている。
  • 大学全体のファンドレイジングのマインド「ゆっくり、しっかり、コツコツ」→緊急支援「スピード感」(ノウハウが異なる)
  • 卒業生などが寄付集めで盛り上がる一方で、学生の現状や寄付金使途の整理が追いつかない。
  • 「支援したい」という声を繋ぎ止めておくのが大切。
  • 資金を集める、という意味での大学の価値とは。
  • ウィズコロナ/アフターコロナのファンドレイジングとは。 

参加者には大学職員だけでなく、他分野・他業種の方が含まれていて、話題の幅を広げることができたのでは、と感じました。そして無意識のうちに自分に「ゆっくり、しっかり、コツコツ」マインドが根付いてしまっているなぁ・・・と反省。スピード感を意識します。

 

「あのとき大学ファンドレイザーは何をしていたか。」

こういうのは、意識的に記録を残しておかないと「ええと、なんだっけな・・・」となりがち。新しいブログテーマを与えてもらったと考えて、このブログでも折に触れて記録していきます。

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jfraac.jimdofree.com

大学チャプター総会に参加しました

2020年5月5日(火・祝)、2年目に入った大学チャプター総会が行われました。

今ではすっかりお馴染みとなったZoomでの開催です。

ただしメンバー全員、Zoom操作に長けている訳ではなく・・・直前のリハーサルでも悪戦苦闘。急遽、Zoomのホストを変更したり、私も「画面の共有」を試みて失敗したり、余裕なく時間を迎えてしまいました(それにしてもなぜ共有できなかったのか・・・ムムム)。

 

14:00ちょうどにスタート。今年度運営メンバー8人と、オブザーバー15人がZoom上に集合です。司会は、共同代表の高橋さん。

2019年度事業報告

以下のことが報告されました。

(1)勉強会の開催:不定期開催。海外の事例、日本の状況など。テーマ別としてはクラファンの取り組み、周年事業、企業版ふるさと納税について。
(2)交流会の開催:ファンドレイジング・日本(FRJ)2019の1日目夜と2日目昼。また3月6日にはオンライン交流会を実施。
(3)日本ファンドレイジング協会との協働事業:FRJ2019のオープニングセッションと個別セッション。寄付月間の大学向け説明会(Facebook Live)と公式認定イベント「キフウォーク」。
(4)組織:会員数204名(2020年3月31日時点)
(5)会計報告:収入は寄付と勉強会参加費。支出は勉強会の会場費や勉強会Zoom実施のための備品代など。余剰については次年度へ繰越。

→昨年度の設立総会で出された「年間活動計画」のアイディアと見比べると、勉強会、交流会、日本ファンドレイジング協会との協働事業の3本について良好に実施できた反面、大学寄付に関する統計等の情報蓄積や地域チャプターとの連携までは手が回らなかったことがわかります。

2020年度事業計画・予算

(1)全体方針:イベント等はオンラインで実施。持続可能な運営のため、勉強会は参加費として一律徴収。
(2)必要な知識とスキルの向上に向けた活動:勉強会の開催(6月頃から再開、月1回開催)。
(3)共通課題や対応策に関する情報共有のための活動:交流イベント、大学訪問ツアー、ファンドレイザー合宿の企画
(4)高等教育機関ファンドレイジング活動に役立つ情報発信活動:公式ページの運営、SNS発信、メルマガ、ハンドブック作成
(5)ネットワークの拡大にむけた活動:他チャプターとの連携、FRJ2020への参加、ADRP交流
(6)予算計画:収入は勉強会参加費。支出は勉強会開催経費に加え、ハンドブック制作、公式サイトの手数料など。

以上の計画案について承認されました。

→FRJ2020ではオンライン開催が決定し、大学チャプターの勉強会もオンライン開催です。オンラインではオフラインと異なる運営をしなくてはいけない一方で、空間的制約がなく参加してもらえるメリットもあります。

また新型コロナウイルス感染状況が落ち着いたら、見学ツアーや合宿を実施して、オフライン交流を深めていけたら・・・と願います。

計画案には明記されていませんが、交流には大学ファンドレイザーだけでなく、地域チャプターとの交流についても進めていきます。

2020年度運営委員について

 共同代表 𠮷田さん&高橋さん、事務局長 木村さんと5名の運営メンバーがZoomの拍手と◯サインで承認されました。
 続いて、今年度、運営メンバーに加わった樋口さん(山形大学)と長谷川さん(国際基督教大学)から挨拶がありました。

 

新型コロナウイルス感染症の長期化が懸念されるなか、「ウィズコロナ」「アフターコロナ」を見据えた活動計画となりました。一年前の設立総会時を振り返ると、あまりにも目まぐるしく状況が変わっていると感じます。だからこそ、大学チャプターは活動を続けていく意義があるのだと、改めて気を引き締める思いになりました。

jfraac.jimdofree.com

 

ドナー・リレーションズとスチュワードシップ(4)

「私のお金はどこへ行き、何の役に立ったのでしょうか?」

この問いに応えるのがドナー・リレーションズ。

 

オンライン受講したCouseraから、ドナー・リレーションズに関わる部分のみを今回は紹介いたします。

ファンドレイジング全般に関する内容は、こちら。

米国調査結果から

 講座では、寄付者の調査結果が紹介されていました。

「個人寄付者の93%は、自分の慈善活動(寄付)について迅速にフォローアップされた場合には、再び寄付したいと感じている。」

ここでのフォローアップとは、「お礼状」や「報告」などを指します。

ドナー・リレーションズの4本柱

  1. Gift acceptance and management:寄付の受け入れ管理。
  2. Acknowlegement:寄付受領のお礼状。寄付受け入れから7日間以内に送る。寄付者個人に向けて寄付金によるインパクトをストーリーで語る。最も適切な人(団体代表でもそれ以外でも構わない)の署名入り。
  3. Donor Recognition:レコグニション。寄付者への謝意表明。「感謝の会」といったイベントや銘板など、目に見える形で謝意を表明すること。
  4. Reporting:報告書。使途報告、成果報告など。

これまでの「ドナー・リレーションズとスチュワードシップ」シリーズを復習するような内容でした。

寄付者との関係性強化

これまでも繰り返し書いてきている内容ではありますが、ドナー・リレーションズの主目的は「一度寄付してくれた方との関係性を強化して、長期的に繰り返し寄付していただけるようにすること」。

そのためには、寄付者について知ることが重要です。

「どんなことに興味を持っているのか」「どんなイベントに参加したことがあるか」「どんな内容でモチベーションが上がるのか」「何に期待しているのか」

こういった内容を把握するために、調査会社を利用したり、寄付者データベースに含めることも方法としてあります。

「寄付者データベース」、寄付者の氏名・住所や寄付日・寄付額だけになっていませんか?寄付いただいた一人一人を知ることが大切になっています。

そして米国では(大口)寄付者一人一人への報告書を作成している、ということを昨年参加したADRPカンファレンスで知り、驚愕しました。

書くのは簡単、実際は・・・と我が身を振り返るところですが、「私のお金はどこへ行き、何の役に立ったのでしょうか?」という問いに、改めて真摯に取り組む必要性を感じました。

 

Journal of Donor Relations & StewardshipのBookシリーズ、4冊目が出たそうです。私は2冊目にようやく入りました。3冊目に入ったら4冊目を買おうかな・・・

Journal of Donor Relations & Stewardship: Book 3: Structure

Journal of Donor Relations & Stewardship: Book 3: Structure

 

 

 

Courseraでファンドレイジングを受講してみた(2)

 

Courseraでファンドレイジングを受講してみた(1) - 始まりの景色

の、続きです。

"Fundraising and Development Foundations"のコースを受講しました。

「ファンドレイジング基礎知識」という内容で、網羅的に学ぶことができました。印象に残ったことをメモ。

寄付集めの4つのプロセス 

講座では寄付集めのプロセスを4つのフェーズに分けています。

  1. Identifying:Prospective donor(寄付候補者)を調査すること。寄付候補者を"warm"、"lukewarm(生温かい)"、"cold"と、団体への興味、反応についての温度感で分類。
  2. Cultivating:関係を構築していくこと。大学で言えばキャンパスツアーに参加してもらうことなど。この場合、団体のミッションに直接関わりのない、例えば「懇親会」といったイベントは含まれない。
  3. Soliciting engaged donors:積極的に寄付をお願いすること。Prospective donorからValued donorへの転換期。ここではPledge payment(一定期間中に分割払いすることを約束すること)による大口寄付について、
    "Not now" is better than a hard "No".(キツい「ダメ」よりも「今ダメ」の方が良い)
    に表されるように、pledgeによる寄付の約束を受けることが重要である。
  4. Stewardship:寄付の使途と説明・報告するすること。スチュワードシップはドナー・リレーションとセットで語られることが多く、今回もセミナー後半でドナー・リレーションが出てきます。一番関心のある分野につき、この項目の詳細は別途。

プランド・ギビング

プランド・ギビング(Planned Giving)とは、寄付者が、遺言を含めて、自分の人生を通じた寄付について計画的に実施すること。米国でシニア層の寄付が進む要因のひとつが、このプランド・ギビング(信託制度を活用した寄付が進みやすくする仕組み。)である。1969年に米国で生まれ、税制上のメリット、特に有価証券や土地の寄付しやすさ、運用益の配当が受けられる制度設計などにより、寄付の促進に大きな貢献をしている。

引用元:プランド・ギビングとは - Weblio辞書

日本では税制上の制限により、米国型のプランド・ギビングは設計できないため、「日本型プランド・ギビング信託」があります。制度は異なりますが、寄付者がプランド・ギビング先を選ぶポイントは日米共通と思われるためメモ。「受け入れ団体であること」「信頼性が高い団体であること」「長期的関係を築いていく体力のある団体であること」。

大学に当てはめると「信頼性」「長期的」については、ほとんどの大学が該当すると思いますので、あとは「受け入れ」体制を整えて表明すれば良いわけです。税制など難しいですが、引き続き知識を深めていきたい分野です。

キャンペーン

キャンペーンは3種類。目的と目標額があり、だいたい5〜10年間にわたり行われるものをキャンペーンと呼びます。

  • Capital campaign:建物などいわゆるハコモノ
  • Endowment:運用益を活用する基金
  • Comprehensive:包括的

最後の「comprehensive」についてはイマイチ想像できなかったため、他の資料から補足。

A comprehensive fundraising campaign is not a new idea and coordinates multiple campaigns into one. This type of campaign is more strategic than a typical capital campaign. It focuses an organization’s energies into one campaign with multiple goals and revenue sources. 

引用元:The Many Benefits of a Comprehensive Fundraising Campaign - Armstrong McGuire

ざっくりと訳すと、包括的キャンペーンとは真新しいことをするのではなく、既存の複数の目標や収入源を一つに集中させること。

 

なぜキャンペーンをするのでしょうか?

「今、寄付しないと」「新規寄付者の開拓」などある中、「スタッフやボランティアの士気を高めるため」というのが印象深く残りました。この後の内容でも触れられますが、キャンペーンにボランティアの存在が欠かせない、というのが米国では常識のようです。

キャンペーにも4つのフェーズがあります。

  1. Pre-campaign:キャンペーンの計画段階。目標額を設定したり、優先順位を検討したりする。ドナーピラミッドによる戦略を立てるのもこのとき。
  2. Quiet Phase:静穏期。ではあるものの、既存寄付者にキャンペーン告知を始めて大口寄付を求めるなど、この段階で目標額の40-60%を集める、とのこと。え、そんなに!?と思ったのは私の経験が足りないからでしょうか。また、この時期にボランティアのスキルを測っておくのだそう。
  3. Public Launch:目標額の40-60%を集める頃に、「私たちはキャンペーンをしています」とアナウンス。ボランティアに積極的に関わってもらう。ロゴマークを公開するのもこの時期。団体が勢いに乗っていることを強調する時期。成功することを公にアピールするのがローンチの目的。そうなんですね・・・
  4. Closing Campaign:目標額を超えたとき、あるいは設定したキャンペーン期間が終了するとき。これまでの寄付者に感謝することはもちろんのこと、「こういう成果がありました」「成功裏に終わりました」とキャンペーンによるインパクトを表明。対外的に前向きな評価で終わることが重要。

これらのキャンペーンを進める上で重要な要素として「Economic Factors」がありました。新型コロナウイルスで経済活動を後回しにせざるを得ない現在は、キャンペーンを積極的に続けない方が良い時期と言えます。

Couseraには他にもファンドレイジングのコースがあるようなので、引き続き受講していきたいと思います。

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Photo提供者:Suzy Hazelwood