寄付者の権利、再考〜山田ゼミに参加して

寄付のためにNPOの信頼性向上に取り組んでいる非営利組織評価センターに所属している山田泰久さんが実験的に実施しているゼミ、(勝手に)通称「山田ゼミ」(寄付月間2020認定企画)。

 

11月については、こちら。

izmy2009.hatenablog.com

 

今回は、10月の内容です。

note.com

 

課題1 和歌山市クラウドファンディング

課題2 ネットで寄付募るなら動画は不向き?

課題3 Lover Zoo 朝日新聞デジタル

 

私は課題1を選びました。

和歌山市が犬や猫の「殺処分ゼロ」を目指し、ふるさと納税クラウドファンディングで2,800万円の寄付を集めたが、実際には適切に使用されていなかったのではないかということで、ニュースになった件です。

記事だけでなく、ローカル局でかなり詳細な取材の模様が放映され(放映の内容がネットにもアップされ)、どちらかといえば批判的に報道されていました。

私は非難されてしまうのは仕方がないと思う反面、完全に悪い(アウト)な事例には思えませんでした。その理由は以下の3つ。

  • 予算の一部としての寄付という認識だった・・・「什器は寄付で」と、当初から予算の一部として寄付を充当するつもりで計画されていたと推察。そのため、最初は年度内予算消化のため無理やり金額を合わせ、指摘を受けたので目的外の支出は寄付充当から外した(市の経常予算から支出した)、のではないか。
  • ニーズを的確に把握できていない・・・猫の譲渡会を主催している団体へのヒアリングが不十分で、殺処分ゼロのために必要なこと(ニーズ)を担当者が把握できていなかったのではないか。
  • 「誰がやるか」というのを深く考えていなかった・・・センターには手術経験から長らく遠ざかっていた獣医師しかいなかった、とのこと。「誰がやるか」「継続してやっていけるのか」という見通しが甘かったのでは。

他の参加者からの指摘で印象的だったのは、「寄付者の中には報道をみて、『二度と寄付しない』と不信感を抱いた人もいるのではないか。それが残念。」ということ。

ここで「寄付者の権利宣言2010」が頭に浮かびました。

http://jfra.securesite.jp/cfr-page/pdf/sengen.pdf

この寄付者の権利宣言には、以下の記載があります。

私たちは、寄付の促進のためには、寄付に託された寄付者の志や想いがきちんと受け止められ、寄付者が寄付による満足感や達成感を得られることが大切だと考えています。

よって、私たちは、寄付という行為を通じて、寄付者と寄付の受け手が相互に理解を深め、信頼関係を構築していくために、ここに寄付者の権利を宣言します。

今回の事例は、寄付を受け入れている時点ではなく、寄付を支出する時点で、寄付者と寄付の受け手の信頼関係が損なわれてしまったのかな・・・と。残念です。

ちなみに、寄付者の権利は5つありますので、こちらもご紹介。

1.寄付者は、寄付に際して、寄付先、寄付目的、寄付金額、寄付物品を自身の意思で決めることができます。
2.寄付者は、寄付金や寄付物品の使途目的をあらかじめ知ることができます。
3.寄付者は、寄付先の組織、事業内容、財務情報について知ることができます。
4.寄付者は、寄付金や寄付物品が実際にどのように活用されたかを知ることができます。
5.寄付者は、寄付先に、自身の個人情報の保護を求めることができます。

 

12月は寄付月間。

寄付者の権利を今一度読み返して、寄付を受け入れていきたいですね。

追記:課題2と課題3も興味深い議論となりました。興味がある方は山田さんのnoteをご覧ください。

 

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寄付月間 -Giving December-