報告書もメジャメントも大学の個性〜東京大学株主総会に参加して

東京大学株主総会にオンラインで参加しました。

え、東京大学株主総会なんてあるの、と思われた方がいるのではないでしょうか。私も知りませんでした。

www.u-tokyo.ac.jp

IR(Integrated Report)×IR(Institutional Research)×IR(Investor Relations)
東京大学はこのたび初めて長期の「大学債」を発行しました。 今後、東京大学は、「大学債」を対話のツールとして、社会や市場のみなさまから評価いただくことになります。そこで今回の株主総会では、「大学の無形の価値を未来社会の中でどう位置づけていくか」をテーマに、「社会的価値」「経済的価値」二つの観点でゲストとともに考えます。当日は、視聴者のみなさまの質問をリアルタイムで受け付け、その場でお答えします。今年度発行の統合報告書および2019年度事業年度の財務報告も合わせて行います。 

 株主総会では五神総長のご挨拶に続き、統合報告書について説明がありました。この「統合報告書」という言葉も初めて目にしたのですが、会計情報だけでは把握できない「大学の見えない価値」を表すために非会計情報も含めたのが統合報告書、とのこと。参加者にはPDFでデータが提供されました。

パネルディスカッションのテーマに惹かれて参加。質疑応答の時間も視聴して、印象に残ったことをメモ。

  • 無形知的資産の単体に意味があるわけではない。この無形資産をどのように使うか、その組み合わせと全体のストーリーに価値がある。
  • 人という見えない価値をどのように可視化するか。
  • 人件費はコストでもあり先行投資でもある。
  • 大学とはニュートラルな機関であり、長い時間を要する長期的な課題解決を得意とする、という特徴がある。
  • 大学の社会的インパクト。インパクトメジャメントの指標そのものが大学の個性を表す。
  • メイド・イン・ジャパン→メイド・バイ・ジャパン→メイド・ウィズ・ジャパン。
  • お金をシェアすると減るが、ナレッジをシェアすると増える。
  • 米国大学卒業生の母校への寄付金が多いのは、卒業生が母校の価値を感じているからでは。
  • 無形資産と寄付行動の関係。無形資産の場合、寄付者側のイマジネーションと好奇心が必要となる。

資金を調達するには、自団体の価値を示し、その価値の組み合わせによる新しくて魅力あるストーリーを語る。

ファンドレイジングを学んだことのある方であれば馴染みのある自己分析とストーリーテリング、そして社会的インパクト。

中長期課題の社会的インパクトについて「理屈はわかるんだけど実際のところどう表現すれば・・・」とモヤモヤしていたところ、「インパクトメジャメントの指標そのものが大学の個性を表す」というところで、はっとしました。考えてみれば報告書も個性そのものですね。

得るもの多く満足感の高い株主総会でした。

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