一年前の記録
今日は父の命日です。
一年前、仕事にスクールに旅行に・・・と慌ただしくしていた夏。
父が緊急入院したのは8月。母は病院から、二度と退院できないと宣告されていました。
私は8月の緊急入院の時に、「お母さん、大げさやな・・・」と、まだ話ができる父と会話をしました。それから、いつその時がくるかもしれない、という不安を、忙しさで紛らわせ、弱っていく父の姿に向き合えないでいました。
一方、母は覚悟を決めて、自宅の介護ベッド(レンタル)を返却し、姉と斎場を下見して具体的に相談したりと、比較的落ち着いて準備を進めていたそうです。
その日。日中のことでした。
母の元に、病院から「非常に危険な状態なので今すぐ来てください」と連絡がありました。
病院が連絡して程なく、父は静かに息を引き取りました。
母は近くに住んでいる兄に連絡。先に到着した兄も、最期の瞬間を立ち会うことはできませんでした。
次に到着した母は、心電図モニターが0を示していることをしっかりと見て、そして、
「お父さん、今までありがとう!」
と感謝の言葉を叫んだそうです。
すると・・・
わずかに父の口が動きました。その口の形は、まるで「おう」と言いたかったかのよう。
そして心電図モニターが「ピッ」と反応しました。
看護師さんが「戻ってこやぁたねぇ(戻ってきましたね)」と言いました。
母は、最後に思い残すことなく父に感謝を伝えられた、と喜んでいました。
その話を聞いて私も感動しました。
耳は最後まで聞こえているのだと。母の声は間違いなく父に届いたと。
奇跡と呼ぶには大げさかもしれませんが、奇跡が起きました。
最後まで仲良しの両親を誇りに思います。