「『学習する組織』を読む」を読む

2013年9月から読み始め、twitterでつぶやき、togetterでまとめていた「学習する組織」をようやく読了しました。長かった・・・どれだけサボっていたかが明白すぎて赤面ですが。

改めてtogetterでまとめた「『学習する組織』を読む」を読んで、本のエッセンスを凝縮して紹介します。自分のtogetterからの引用です。

 

学習する組織――システム思考で未来を創造する

学習する組織――システム思考で未来を創造する

 

 (p.48)学習する組織は、「いかに私たちの行動が私たちの現実を生み出すか、そして私たちはいかにそれを変えられるか」ということを人々が継続的に発見し続ける場である。 

 

出来事中心の思考法が優位を占める組織の中では、生成的学習を継続することはできない。(略)「私たちの未来を創り出したい」という熱意だけでは不十分なのだ。  

 

(p.135)システム思考を習得する際、私たちは、責任のある個人がいるという前提を捨てる。フィードバックという見方は、システムによって生み出される問題に対しては全員が責任を共有することを意味するのだ。  

 ※誤字があったため、修正しました。

学習する組織にとって、マネジャーたちがシステム原型の観点から考えるようになって初めて、システム思考は活発で日常的な動作主となり、いかに私たちが自分たちの現実を生み出すかを絶えず明らかにするようになる。  

 

 (p.154)現在、研究者たちによって、およそ12のシステム原型が見つかっている。→巻末の付録2では、10のシステム原型を紹介。そこでは「解説」「こんな症状が見られたら要注意」「対処の原則」「ビジネスの事例」「その他の例」があり、実践的で興味深いです。

 

(p.189)システム思考は、種類による複雑性を無視するわけではない。むしろ、種類による複雑性を整理して、問題の原因や、その原因をどのようにして持続的に改善することができるかを解明し得る、筋の通った物語にまとめることを意味する。 

 

私たちに最も必要なのは、何が重要で何が重要でないか、どの変数に焦点を当て、どれにはあまり焦点を当てなくてよいかを知る方法である。そして私たちには、これを行うために、グループやチームが共通の理解を深める方法が必要である。 

 ※誤字があったため、修正しました。

(p.296)真に共有されるビジョンは一朝一夕には生まれない。(略)本当の意味で共有されるビジョンが生まれるには、継続的な対話が必要だ。  

 

(p.314要約)既存の方針や行動がいかに今の現実をつくり出しているかを組織にいる人々が学び始めれば、ビジョンが育ちやすい新しい土壌ができてくる。その新しい自信の源泉は影響を及ぼすレバレッジのある場所だ。 

 

第8章「自己マスタリー」。(p.192)個人が学習することによってのみ組織は学習する。個人が学習したからといって必ずしも「学習する組織」になるとは限らない。が、個人の学習なくして組織の学習なし、である。 

 

自己マスタリーの感覚を養うには。二次的な目標だけでなく、究極の本質的な欲求に焦点を合わせる。例:「心から大切にしたいこと」として表現する。  

 

続き。創造的緊張(クリエイティブ・テンション)を維持する。自分のビジョンと現実の乖離。この乖離こそが真の創造的エネルギーの源である。ゴムバンドの状態と同じ。引き伸ばせば、引っ張り合う力が生まれる。 

 

(p.208要約) とはいえ、創造的緊張が悲しみ、落胆、絶望、心配など不安にまつわる気持ちや感情をもたらすことはよくある。こうした感情と創造的緊張は混同されやすい。しかし、「マイナスの」感情は創造的緊張そのものではない。これは「感情的緊張」。  

 

(p.213)創造的緊張に熟練すれば、現実に向き合う心構え全体が根本的に変わってくる。今の現実は敵ではなく味方になる。鋭い洞察力で今の現実を正確に把握することは、ビジョンをはっきりさせることと同じくらい重要だ。  

 

(p.237要約)自己マスタリーは、個人の自由な選択。強制することはできないし、強制すれば裏目に出る。ではどうすれば良いか?リーダーは「模範たれ」。つねに「行動は言葉よりも雄弁」。そして組織は本質的に「高圧的なシステム」であることを忘れない。  

  

(p.304)多くの経営者が直面する最も厳しい教訓は、結局のところ、他者を参画、あるいはコミットさせるために自分ができることは一切ないということだ。参画やコミットメントには選択の自由が必要だ。 

 

(p.319)チーム学習は、個人のスキルや個人が理解しなければならない領域も必要ではあるが、集団的なディシプリンである。(略)チーム対話の異なる方法、ダイアログとディスカッションを習得する必要がある。 

 

(続き要約)ダイアログでは、複雑で微妙な問題を探求し、互いの話にじっくり「耳を傾け」、自分の考えを保留する。対照的に、ディスカッションでは、さまざまな考えを発言したり、弁護したりして、そのときに下さなければならない決定の裏づけとなる最善の考えを追求する。 

 

(続き)ダイアログとディスカッションは、潜在的には補完し合う関係にあるが、ほとんどのチームには、両者の違いを見分け、意識して使い分ける能力が欠けている。 

 

(p.326要約)ダイアログでは、人は自分自身の思考の観察者になる。何を観察するか。自分の思考が活動していることをである。例えば意見が対立したとき。「対立しているのは私たちの意見であり、意見に対するこだわり方であって、私たちではない。」 

 

(p.334要約)ファシリテーターの役割。ダイアログとディスカッションのバランスをとる。ディスカッションでは、決定が下される。ダイアログでは複雑な問題が探求される。学習するチームは、ダイアログとディスカッションの間を行ったり来たりする動きを習得する。  

 

(p.411)ボストンの道のジョーク。ボストンでは、街で最も歴史の古い場所にある道には一切のパターンがない。「それは17世紀の牛のせいだ」。20世紀の舗装道路は、18・19世紀に形作られた荷車用の道の上に敷かれた。この道は17世紀の牛が踏みならした。 

 

(p.412)牛のように「これまでもずっとこうしてきたのだから、これまでしてきたことを今もしている」のか、人のように、「一歩後ろに下がり、より深いパターンを見ることを試み、そのうえで違う方法で物事を進めることを選択している」のか? 

 

「分散型リーダーシップ」という考え方。リーダー 3つのタイプ。現場のリーダー、社内のネットワーク・リーダー、幹部クラスのリーダー。 

 

現場のリーダー。システム思考のツールの有効性を検証したり、メンタル・モデルに対処したり、共有ビジョンを打ち立てたりすること、学習と仕事が一体化する職場環境を作り出すことに、欠かせない存在。  

 

ネットワーク・リーダー。手助けしてくれる人。種を運ぶ人。つなげる人。より大きなネットワークを構築して、成功したイノベーションや、重要な学習や知識を広げる。 

 

幹部クラスのリーダー。イノベーションや変革に向けた環境全体を形づくる。価値観や志を信頼すべきものにするためには、模範となって体現しなくてはならない。多くの点で、きわめて重要でありながら最もないがしろにされているのは、階層的権力のこうした象徴的な影響。 

 

「学習する組織において、リーダーは設計者であり、教師であり、執事(スチュワード)である。」  

 

老子の言葉。「邪悪な指導者は、人々に罵らる。善い指導者は、人々に尊敬される。偉大な指導者は、人々に『これを成し遂げたのはわれわれだ』と言わしめる。  

 

教師のジレンマ。どうすれば、未来を形づくることへの自信をそこなわず、強める形で現実を考えることができるか。人々が単に目先の出来事ではなく、根底にあるシステム的な構造やメンタル・モデルという観点から問題を見るのを後押しすることだ。  

 

だが、システム思考の能力を構築するには時間と忍耐が必要であり、この道に真剣に取り組むリーダーはきまってジレンマに直面する。  

 

ゴードン・ブラウン「教師になることは預言者になるということです。教師は子どもたちにこれまでどおりに世界で生きていく準備をさせるにではなく、大人には想像もつかないような未来で生きていく準備をさせているのです。」 

 

(p.542) 自然や人間性、より大きな生命活動の本質と矛盾しないマネジメントの体系であり、また最も高い志を実現するように協働することであり、さらには、私たちが変化を生み出そうとしているとき自らがその変化になることである。

 

(p.529)組織学習の取り組みの根底にある第一原則は、ひとえに自然と矛盾しない―人間性、そして私たちがつねに身を置いているより大きな社会や自然界のシステムと矛盾しない―マネジメントの体系を開発すること。 

 

(p.530) 次世代のリーダー。既存の力の中心からではなく、文化、経済、人口統計の辺縁、つまり女性、貧困層、若者から生まれるリーダー。 

 

まとめも紹介。

#「学習する組織」を読む - Togetterまとめ

#「学習する組織」を読む―第Ⅱ部 - Togetterまとめ

「学習する組織」を読む―第Ⅲ部 - Togetterまとめ

「学習する組織」を読む―第Ⅳ部 - Togetterまとめ