大学チャプター勉強会「米国に学ぶ」に参加しました

2019年6月28日(金)に開催された大学チャプター勉強会は「米国に学ぶ ~米国ファンドレイザーの経験談を聞く・その1~」。米国NPO団体「Japan Society(ジャパン・ソサイエティ)」でファンドレイジング部門の唯一の日本人スタッフとして活躍した五十嵐三慧さんをお招きしました。

Japan Societyとは

米国ニューヨークでJapan Society(ジャパン・ソサエティ)が設立されたのは1907(明治40)年。110年以上の歴史があり、全米随一の規模を誇る日米交流団体として幅広い活動を行なっています。 

政財界のリーダー、第一線のアーティスト、学者、教育関係者など様々な方々を迎えて年間約200のプログラムを主催。時事問題や芸術・文化をテーマにグローバルな視点からの日本理解を広くアメリカの人々に促すと同時に、日米関係を深く考察する機会を提供しています。

引用元:ジャパン・ソサエティ

https://www.japansociety.org/page/about/about-japan-society-japanese

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Annual Report 2017-18

五十嵐さんはニューヨーク大学でアート・マネジメントを勉強し、インターンがきっかけでジャパン・ソサエティに就職、ファンドレイジング (Devepolment)部門にて対法人のファンドレイザーを務めました。

勉強会

勉強会は団体の活動内容やDevelopment部門の概要を五十嵐さんからお話いただき、続いて参加者全員による座談会形式で行われました。内容は順不同で下記のとおり。

  • 米国の寄付文化・・・個人が寄付することは日常的なことで、「寄付先の団体と関わりたい」という意思表示である。裕福層にとっては寄付はステータス・シンボル。法人は常にビジネス戦略で「寄付することで、自社にどんなベネフィットを受けられるか」を求める。
  • ファン作り・・・"Friend-raising"は重要。「自分たちは何者か?」「どんな人たちが自分たちを支援してくれるのか?」「その人たちに自分たちがどんな付加価値を提供できるか?」を徹底的に分析し、寄付イベントや寄付プランを企画している。
  • 富裕層へのアプローチ・・・シニア世代にはFace-to-Faceで少人数のイベントを提供したり、ミレニアム世代にはネットワーキング作りを意識したイベントを行ったりと、支援者の付加価値に合わせたイベントを展開。
  • 収入源・・・会費、企業スポンサー、寄付金、基金利息収入、事業収入など。自社ビルのため、レンタルスペースとして貸し出すこともある。
  • 競合団体・・・アート分野でいえば、ニューヨークには多くの美術館・博物館があり、常に競争は激しいが、共創イベントなども行っている。国際交流分野でいえば、ニューヨークには"Asia Society"がある。こちらも定期的に情報交換し、どのようなイベントが好評なのかなど参考にしている。
  • 催し物・・・5年程度のスパンでイベントを計画している。「日本から○○というアーティストが訪米するので何かイベントを」といった売り込みには応じない(イベント会場としてスペース貸しをすることはある)。「イベントで人を集めること」が目的なのではなく、「イベントによりどんな人が集まるか」を意識している。

ニューヨークで長年活動を続けるための秘策がある訳ではなく、ファンドレイジング戦略の王道を突き詰める大切さ、「付加価値のあるもの」を生み出し続ける不断の努力が必要なことを改めて実感しました。

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Annual Report 2017-18

こぼれ話

MOMAニューヨーク近代美術館)ではシニアボランティアが多いのが特徴。ボランティアもステータス・シンボル。ボランティア管理の専門者がいて、ボランティア一人ずつの特性を詳細に記録し、適材適所に充てるようにしているそうです。」

「日本語に訳せない英単語はありますよね・・・」のくだりから、「"Development"よりも"Advancement"の方が良いと言う人がいます」「最近は"Giving"は少し古い言葉の印象になっているんです・・・代わりに好んで使われるのは"Relations"です。」とのこと。先日のミニ勉強会で"Donor Relations"がホットワードになったので、風が吹いてきた!と興奮。

 

参加者は13人。今回は大学チャプター会員以外の方の参加もあり、大いに盛り上がって終了しました。

 【日本ファンドレイジング協会大学チャプター】

jfra.jp

 

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