ドナー・リレーションズとスチュワードシップ(1)
認定ファンドレイザー一覧に掲載いただきました!
その中で意気込みを書きました。
ファンドレイジングの中でも、寄付者の裾野を広げ、長期的な関係を築くことに注力するドナー・リレーションという分野を深めていきたい。
昨夏に参加したADRP2019での感動が、今の意気込みに繋がりました。
この国際会議を主催しているADRP(Association of Donor Relations Professionals)。この団体の前身は、Stewardship Conferenceです。
それにしても、この「スチュワードシップ」がいまだによくわからない。
以前の記事でも少し触れましたが。
うーん・・・と色々検索していたところ、2005年に書かれた東京財団研究報告書に出会いました。
「日本の NPO/NGO におけるファンドレイズ機能とその発展ストラテジー」
大西たまき(インディアナ大学フィランソロピー・センター客員研究員
前 PBS 全米公共テレビ放送ニューヨーク局資金調達部ファンドレイザー)
https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2005/01034/pdf/0001.pdf
この研究報告書は、米国でファンドレイザーとして活躍されている大西さんが、主に日米のファンドレイジングについて比較することで日本のファンドレイジングについて研究したものです。15年前の論文ですが、今でも継続した課題が残っていることに気づかされるなど、多くの示唆を与えてくれます。
この中で「スチュワードシップ」という用語の説明がありました。
スチュワードシップとは、寄付をもらった後に「寄付を受けた団体が倫理的に寄付を使い、寄付者がその社会支援の気持ちをきちんと行使できる」ために、NPO/NGO が寄付者に対して行う活動である。つまり寄付者への寄付使途の報告と関係強化の活動であり、ファンドレイジング・サイクルで最も大切でかつ寄付の更新に効果を上げるプロセスと言っても過言でない。
引用元:「日本の NPO/NGO におけるファンドレイズ機能とその発展ストラテジー」56ページ
さらに、スチュワードシップの実施度に関するアンケート結果について掲載されています。米国では基本とされているアカウンタビリティ活動への実施度が、調査当時、「非常に低い」と結論づけられています。その内容とは。
- 会費・寄付・助成金の使途を報告
- 領収書以外に感謝の手紙を添える
- 感謝の手紙をすぐに送付
スチュワードシップは、特に個人寄付者相手のファンドレイジングでは一層必要とされる。日本で個人寄付を増やすには、寄付をお願いする行為だけでなく、こうした関係強化の活動にも同時に力を入れていく事が望まれる。
引用元:「日本の NPO/NGO におけるファンドレイズ機能とその発展ストラテジー」64ページ
そう。このスチュワードシップを含めた「継続的な関係強化」に特化しているのがドナー・リレーションズ!
折しも、この報告書が書かれた前年の2004年にADRPは設立されました。米国にて寄付者との関係強化に特化する分野が発展してきたことがわかります。
という訳で、改めて、ADRP2019参加の折に勢いで買った"Journal of Donor Relation & Stewardship" シリーズ3冊の積読を解消するぞ!
(という意気込みで今日のところは・・・)
Journal of Donor Relations & Stewardship: Book 3: Structure
- 作者:Julia S. Emlen,Katie Lempert Sklar,Tony Stringer
- 出版社/メーカー: Heurista Publications
- 発売日: 2018/08/21
- メディア: ペーパーバック
注:以前の記事では「ドナー・リレーションズ」と書きましたが、この度、認定ファンドレイザーとして掲載いただくにあたり「ドナー・リレーション」と表示することにしました。
注2:今後の記事での記載統一のために、再び「ドナー・リレーションズ」に表示を直しました(2020/9/19)