大学チャプター勉強会「ADRP2019シェア報告会」を開催しました
「米国のファンドレイジングはアメリカンフットボールのよう。専門プロによる分業化が進んでいる。」
ADRP2019に参加したメンバーによる報告会を2019年10月31日(木)に開催しました。
Zoom参加を含め参加者は20人を超えました。
大学チャプターからADRP2019に参加したのは4人。報告会では発表者のカラーが出て、「同じイベントに参加しても各自の視点はこんなに違うのか」と興味深かったです。
私からはブログ記事を元に2つのことを発表。
- ADRP2019概要
- 自分の体験記
最後に、"おまけ"として、"TechXchange"というセッションで紹介されていたハックツールを紹介しました。気になる方はリンク先のサイトをご覧ください!
- デザインツール canva :プレゼンテーション・ポスター・バナーなど、豊富なデザインの無料素材が提供されているサイト。豊富な日本語フォントあり。
- インフォグラフィックツール venngage :こちらは特にグラフに強く、数字を入れるとあっという間に出来上がり!最初のページは日本語ですが、その後は英語。日本語のフォントの種類が少ないのが難。
- ロケットブック :スマートノート。フリクションで書いて専用アプリのカメラをかざすとノートを画像ファイルとして記録し、指定したクラウドドライブ(googleドライブなど)に保存。ノートは濡れた布で消すと再利用可能。会場で「私も持ってる」「すごく便利よ!」と絶賛されていて、帰国後に勢いで購入しました。
続いて、久保優子さん(東京工業大学)からの発表。
英語が堪能な久保さんは、3分間で交代する目の前の方に何でも良いので話す「スピードネットワーキング」のセッションが面白かった!とのこと。自分も話さなくてはいけない、ということですから、私は道場破り!?「頼もう〜!」と気合を入れないと参加できそうにありません。
"Impact Report"のセッション。Impact Reportとは、大口寄付者にむけた個人用活動報告書のこと。寄付者ひとりひとりの期待値を推し量り、その寄付者に向けた個別の活動報告書を作成。とても手間がかかりますが「報告書とは寄付者の期待に応えるもの」という視点が徹底しています。
一番最後に聞いたセッション「マイクロアグレッション」が最も心に響いた、とのこと。聞き慣れない「マイクロアグレッション」とは、「ちょっとした言動が他人に不快感を与えること」。自分が何気ない言動で他人に不快感を与えていないか、その判断をパーティーに例えた説明が非常に分かりやすかったです。
判断に役立つ4つのキーワード
• ダイバーシティ(Diversity):パーティーに多様な人たちが招待されている
• インクルージョン(Inclusion):パーティーでダンスを申し込まれる
• エクイティ (Equity):パーティーで出席者全員に食べ物や音楽が用意されていること
• ビロンギング (Belonging) :参加者がパーティーの成功に貢献していること
3番目は木村昭さん(東京大学)から。
木村さんは主に日米比較という観点でまとめました。冒頭の「アメリカンフットボールのよう」とは木村さんの弁。ちなみに日本は「1人で何でもやって万事に素人っぽさがある」。確かに・・・日々の葛藤とモヤモヤをずばり言語化してくれました。
出店していた企業ブースもしかり。寄付者データベース、銘板、分析ツール・・・このあたりは日本でも企業があると思いますが、寄付キャンペーン全般・インパクトレポート作成など、「それって自前でやるんじゃないの!?」といったものまで、アウトソース請負として成り立っています。
木村さんは、分業化すればそれぞれの特性があり、求められる人物像も違う、と指摘しました。
以前、「私たちはファンドレイザーではありません。ドナー・リレーションズ・プロフェッショナルズです。」というのも同じ。分析に向いている人、華やかな人脈開拓に長けている人、穏やかに支援者の意向を受ける人。そう考えると、1人で万事こなさなくてはならない状況は、決して効率的ではありません。他方、日本のファンドレイジングには伸びしろがあり、将来性があることを再認識しました。
最後に日本からのADRP2019参加回数最多を誇る南條勉さん(合同会社ネクストワン)から。
大口寄付者はドナーリレーションを続けながら育ち、その期間は平均7年間と言われていると話しました。また、闇雲に寄付活動をしても意味がなく、ある大学では90日間を目安として効果を測り、次の寄付活動に生かしている、とのこと。効果を測ること、冷静に分析すること、その大切さを私もファンドレイジングスクールに通ってから痛感しています。
南條さんは民間企業勤務ご経験から、私が紹介したThankView、日本でのサービス展開の代理店を模索しているとのこと。期待しています!
最後は参加者同士の議論の中で、日米の違いを認識しつつ、米国から学べるところは積極的に取り入れましょうと話しました。
予定していた2時間があっという間にすぎ、勉強会後の懇親会も大いに盛り上がりました。
ADRP2020次回はニューメキシコシティのアルバカーキで開催が予定されています!