ADRP2019に参加しました(2)

「私たちは寄付キャンペーンを強化するために"Social Media Director"を置きました。」

 

ADRP2019で印象に残ったセッションについて紹介します。

2019conference.adrp.net

 

寄付キャンペーン

ノースウェスタン大学が2011〜2020年にかけて行っている寄付キャンペーン"We Will"のセッション。

ノースウェスタン大学は、シカゴ郊外にキャンパスを構える1851年創立の名門私立大学です。

www.northwestern.edu

このキャンペーンによる寄付額は40億ドルを超えました。

興味深かったのは次の3つ。

  • フリーランスライターによるExpendable Gift Reporting(特別寄付報告)を発行・・・Impact Reportを重視し、プロのライターに報告書を書いてもらうことに。
  • 大口寄付者への対応を強化・・・監査報告・使徒報告は上級職員から。Next Steps Reportを作成。誕生日などの記念日にはプレゼントを贈呈、など。
  • Social Media Directorを設置・・・ビデオ、SNS、デジタルサーネージを活用。

セッションでは流れませんでしたが、このブログを書くのにあたり見つけた動画をシェア。


Northwestern Increases Campaign Goals with Support from Dedicated Donors

 

インパクトビデオ

Greater Chicago Food DepositoryというフードバンクのNPO団体によるセッション。

www.chicagosfoodbank.org

2018年度実績で63000人余の寄付者がいるそうです。この団体の抱える課題は「継続率」。その課題解決方法として、ThankViewというビデオメッセージサービスを導入しました。

thankview.com

このThankViewはADRP2019の企業ブースにも出展していました。

ThankViewの特徴は、支援者に個別のメッセージビデオを送れること。

サンプルとして見せてもらった動画をシェア。

chicagofooddepository.thankview.com

この動画では「サンキュー、スージー!」と呼びかけています。

そして動画のあとで見られるwebレターでも、「スージー、寄付をありがとう」と続きます。さらにこの動画、受け取った人が気に入ったらシェアできる点も興味深かったです。

次の動画は、大口寄付者向け。

chicagofooddepository.thankview.com

「ボブ、パティー、私はケイトです。」で始まるメッセージでは、現在進行中のプロジェクトについて説明しています。こちらのビデオメッセージが終わるとwebレターではビデオで話したプロジェクトの詳細ページへ飛ぶリンクボタンがあります。

ただの文章が続くのと、ビデオメッセージがあるのとでは、どちらが直感的に共感してもらえるか。

「共感メッセージ」がよく設計された仕組みと感嘆しました。

 奨学金

StudentからStew-dentへ・・・Stewardshipとかけたインパクトあるタイトルに惹かれて参加したセッション。

スピーカーはバークレー大学。難関公立大学の一つとして知られています。

www.berkeley.edu

奨学金を受給している学生・研究員が2000人の約90%にプロフィール登録してもらっていて、そこからお礼の手紙やビデオの作成を依頼しているとのこと。その秘訣を教えてもらいました。

入学前から奨学金制度・手続きについて丁寧に説明するだけでなく、受給が決まったらプロフィールページでの名前・学部・メールアドレスなどの登録を促します。

次に例文付きで質問形式で「なぜこの大学を目指したのか」「この大学で何を学びたいか」「寄付者への感謝の言葉」などを書いてもらうように依頼をします。

ここで大事なのは"Storytelling"。ワークシートも用意して、「あなたの物語」を語ってもらえるように工夫している様子が伺えました。

そしてここでもThankView!かなり浸透しているようです。

先ほど紹介したセッションでもそうでしたが、ThankViewはiPhoneといったスマホで撮った動画をそのまま使用できる手軽さが魅力とのこと。この奨学金受給者のビデオも学生本人に撮ってもらい、それを大学職員が確認した上で、寄付者へ送っているそうです。

奨学金受給者にただ「寄付者へ感謝の気持ちを!」というのではなく、まずは受給までのスムーズな手続きがあり、「協力してくださいね」と促すことがポイントだと感じました。

 

「あなたのおかげでこんなことができました」という気持ちを(動画で)伝える大切さを改めて感じました。

 

ちなみにセッション中は一番前スクリーン席前に陣取り、MacBookを立ち上げて辞書を引きながら参加。英語の波に熱が出そうでした。次回参加の時には質問できるようレベルアップを図ります。