2019年の寄付に関するニュース振り返り〜米国大学編

12月は寄付月間です。

 

2019年の寄付に関するニュースを振り返ります。

今回は米国大学編。

  • 米国篤志家が約400人の学費ローンを肩代わり

www.bbc.com

米国は学費が日本に比べて高額です。奨学金を受けたりローンを組んでいる学生が少なくないそうです。今回の申し出によるローンの総額は少なくとも1000万ドル(約11億円)!今回のローンの返済のおかげで、何十年か後、同様に現役の学生への寄付をする卒業生が出るかもしれません。

  •  寄付した人にお礼を伝える「感謝の電話」が相手の今後の寄付行動に与える影響はゼロという研究結果

gigazine.net

ファンドレイジング日本の「寄付を科学する」で取り上げていただけそうなテーマです。米国での寄付行動に関する研究の話。行動経済学者のAnya Samek准教授の調査によると、寄付した後に感謝の電話を受けた人とそうでない人の間では、その後の寄付行動に全く違いがでなかった、とのこと。米国はテレマーケティングが盛んですので、単純に日本と比較できないと思いますが、なかなか興味深い記事でした。

  • 少女ら虐待疑惑の米富豪からの寄付に大学が揺れる

www.afpbb.com

gendai.ismedia.jp

大口寄付を受けた篤志家が犯罪を犯していたら・・・

その人脈はアカデミズムの著名研究者らにも広がり、マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学といった名門校に豊富な資金が流れていたことも、メディアの注目を集める。性犯罪者と巨額の寄付。性犯罪被害の深刻さに加えて、寄付金の「金の色」の問題をめぐっても議論を呼んでいる。

 

受け取った寄付金の扱いをどうすべきか、という統一した基準も法的な義務も現状では存在しない——米サンタクララ大学応用倫理センター所長のジョーン・ハリントン氏はマイアミ・ヘラルドのインタビューに、そう答えている。「これは全くの倫理上の問題になる」と。

引用元:現代ビジネス 2019.8.31「富豪慈善家の性犯罪と怪死…謎の「エプスタイン事件」世界に走る激震」

長年にわたる犯罪が明らかとなった場合、受け取った寄付金を返還すべきかどうか。ケースバイケースではあるでしょうが、解決法としては「事前に書面で契約を交わす」ということになると考えます。一方で、契約を交わしているはずの米国で起きてしまった・・・というのは衝撃的ですし、「表面化しないように匿名で受けた」という報道もありました。最後は倫理観になるのかな、と。改めて日本ファンドレイジング協会の行動基準にある「ファンドレイジングに際しては、法令を守ることに加え、倫理的に正しく行動する」ことの重要さを痛感しました。

寄付月間 -Giving December-