大学チャプター勉強会「研究クラウドファンディングの理論と実践」に参加しました

「ファンは"集まる"ものではなく"集める"もの」。この一言に集約されます。

 

昨年、ファンドレイジング・スクールのリーダーズセッションで、クラウドファンディングのプラットフォーム会社、株式会社Readyforの米良はるかさんにお話を伺う機会がありました。

その時の気づきで

  • ファンドレイジングの一つとしてクラウドファンディングを設計に盛り込むようにしてみよう。適しているプロジェクト、適さないプロジェクトを見極めよう。

と書いたものの、実践の場がないまま月日が経過していました。

 

2019年8月1日(木)、チャプター共同代表の高橋麻子さんによる勉強会の「研究クラウドファンディングの理論と実践」に参加しました。

会場参加者とZoom参加者で約40人!テーマの関心の高さが伺えました。

 

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勉強会「研究クラウドファンディングの理論と実践」

クラウドファンディング(CF)とは

種類・市場・法律などの基礎知識の中で、初めて知ったこと。"All-or-nothing"(目標金額を達成したときのみ入金)では申込時に出金されるのではなく、クレジットカード会社への「予約」なので、未達成時には出資者への「返金」ではなく「予約取り消し」。「予約は最大90日間の会社が多いため、CF期間も最大90日間とすることが多いのです。」とのことでした。

CFの特性を理解する

CFは短期間で資金調達をする手法。プラットフォーム会社はシステムとノウハウを提供します。

  • プロジェクトの詳細情報
  • プロジェクトオーナー情報、金額ごとのリターン設定
  • 応援コメント(寄付者から)、お礼コメント(プロジェクトオーナーから)
  • 合計金額と達成状況、残り時間の表記
  • 活動報告(レポート)

上記のノウハウは、実はCFだけでなく、全ての寄付に通じるもの。寄付者の満足度を高める機能が満載されています。

CFで成功しやすいプロジェクトとは。

  • 背景や経緯にストーリーがある
  • 社会的ニーズがあり、受益者が具体的に見える
  • 成果物ができる(ハコモノ、イベントなど)

など。逆に長期的課題で受益者が見えにくいものは、CFには向いていないと言えます。

CF 1/3の法則

高橋さんが数多くのクラウドファンディングの経験により導いた法則。目標金額の1/3は第一次支援者(コア支援者)、1/3は第二次支援者(既存・知り合い)、1/3はマス大衆。つまり7割近くはプロジェクト関係者が支援することになります。

90日間のうち、最初の30日間で第一次支援者からの1/3の支援を、次の30日間で第二次支援者からの1/3の支援を得られたら、成功の可能性がグッと高まります。このためには個別のコミュニケーションが欠かせません。個別のコミュニケーションとは、DM、メール、対面など、「あなたにお願いしたい」と支援をお願いすることです。

またCFを立ち上げた90日間は、マメなコミュニケーションが欠かせなくなります。これが意外と大変で、高橋さんがこの話をすると、相談に来ていた方から「そんなに大変なのか・・・」と引いてしまうこともあるのだそう。

熱意ある中心人物(PJオーナー)がいると成功する可能性が高まります。上記の諸条件を理解して「実際に集められる金額×3倍」の目標金額を設定すれば「ほぼ成功します」とのことでした。

成功事例から学ぶ

高橋さんからの説明に続き、大阪大学国立科学博物館の成功事例を、それぞれの担当者からお話いただきました。

どちらもスタートダッシュはうまくいかず、「思うように集まらない・・・」とご苦労されたものの、ラストスポートで目標額を達成した、とのこと。

寄付期間中のアクセス件数と達成率のグラフを見せていただきました。プラットフォーム会社から日々の達成率の目安が示されているので、下回るのはプレッシャーだろうなと推察します。

「ファンとお金は"集まる"ものではなく"集める"もの」。経験した方からの言葉に重みを感じました。

なぜCFなのか

CFのノウハウは、あらゆる寄付を集める手法のノウハウと一致します。

ではなぜ、CFなのでしょうか。いろんな話が出ましたが、自分なりに三つにまとめました。

一つ目は「寄付者が喜ぶこと」を徹底的に追求したノウハウの宝庫。CFを経験することで、これまで自団体が寄付のためにしていたことを見直すきっかけになります。

二つ目は「寄付をするきっかけを後押しすること」。いつか寄付しよう、という思いを、CFというキャンペーンを通じて、寄付という行動に繋げることができます。

三つ目は「社会へのアウトリーチの手段として」。自力では掘り起こせない潜在層へ、プラットフォーム会社のサイトやメルマガを通じて紹介してもらえる。社会的意義を伝える有効な手段だと言えます。

 

予想外の大人数で運営側もバタバタ。運営面で課題が残ったものの、今回も参加者の熱意が伝わる勉強会となりました。

 

 【日本ファンドレイジング協会大学チャプター】

jfra.jp

 

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