ファンドレイジング研修「寄付税制から考える寄付するメリットの伝え方」

ファンドレイジングスクールの選択必修「会計・税務・法務・リスク管理」カテゴリーの研修を受けてきました。

2018年10月6日(土)、「寄付税制から考える寄付するメリットの伝え方」。

講師は認定NPO法人NPO会計税務専門家ネットワーク理事長の脇坂誠也さん。

www.npoatpro.org

 

研修の前半は、寄付税制に関する講義。

「寄付税制の適用がない団体へ100万円寄付した場合、税制上の取り扱いは『寄付をした100万円は手元に残らないが100万円に所得税や住民税が課税される』。このボトルネックを解消しましょう、というのが税制上の優遇措置の趣旨」という説明がわかりやすかったです。

それよりも気になった、「Yahoo!ネット募金」の話。

脇坂さんは何気なく「Yahoo!ネット募金は任意団体ですから、税制上の優遇措置は受けられない」と言った一言が気になりました。

Yahoo!ネット募金のプロジェクトで、プロジェクトオーナーYahoo!基金となっているサイトにて「Yahoo! JAPANが2006年に設立した非営利の任意団体です。」と記載がありました。

改めてYahoo!基金で検索。

kikin.yahoo.co.jp

 

なるほど・・・一つまた知識が増えました。

 

所得税の計算方法と寄付控除の2つの可能性、「所得控除」と「税額控除」。准認定ファンドレイザー必修研修で受けた内容の復習でした。

 

「税額控除で、所得税額と寄付金の合計額が同じになるのはいくらの寄付をした場合か?」という質問も興味深かったです。

答えは「税額控除の対象となった寄付金の額を0.6で割り戻す」。計算式がないと分かりづらいのですが・・・「分かりづらいのであれば、おおよそ、0.5で割り戻す、つまり寄付金額の約2倍弱と考えてみてください。」おお、なるほど・・・

つまり、同額の所得税を払う場合、「税制優遇団体に寄付をすると、優遇がない団体に寄付をするよりも、多くの寄付をすることができる」ということになります。

 

次はワーク。

配布された資料は寄付者向けに寄付税制について説明したもの。28団体。この中から、分かりやすいと思う資料をグループで3つ挙げ、その理由を話し合いました。グループの後は全体での総括。

 

主なものを紹介。一つ目はふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」。

www.furusato-tax.jp

シミュレーションで寄付の上限額を簡単に知ることができるサイト。これがあると本当に便利。ただし、だからと言ってこの仕組みを各団体で作って維持するのは難しい。

これはNPO団体などが共同でシミュレーションサイトを作成し、NPO団体でリンクを貼ると便利なのでは?と思いました。

 

2つ目は「認定NPO法人シーズ・市民活動を支える制度を作る会」。

 

サイトよりも配布用に作成されたフライヤーの方が分かりやすい。

http://www.npoweb.jp/wp-content/uploads/2017/12/seidochirashi_kojin_A4_170601kaitei_fix.pdf

一つ難を挙げると、「Supported by 日本財団」のロゴの方が目立っていて、つい「日本財団のチラシ」と言ってしまうこと。シーズさんの存在感が薄まって勿体無い気がします。

 

3つ目は認定NPO法人フローレンス。

florence.or.jp

税制制度について説明を始める団体があるなか(ちなみに大学はこのパターンが多い)、フローレンスでは「年間で1万円寄付した場合」「年間で5万円寄付した場合」のシミュレーションが示されていて直感的に分かりやすい。さらに、クレジットカード・銀行振込のそれぞれの場合の受領日が示されていて、「受付は○日まで」と明記されている。とにかく寄付初心者に分かりやすく丁寧。

フローレンスではさらに「寄付を通じて社会を変える」ことを同じページで説明しているのも素晴らしいなあと思いました。

 

今日の気づき

  • 寄付金控除を単に「納める税金が減額=お得」という観点だけでなく、「同じ税金を納めても社会課題へ直接関わることのできる手段」という観点で捉えることができる。
  • 寄付金初心者に向けての丁寧な説明が、寄付への心理的ハードルを下げる効果があると思う。
  • Yahoo!基金は任意団体のため寄付控除を受けられないが、Yahoo!JAPANの社会的信頼度の高さで、人気YouTuberがこのサイトを通じての寄付を呼びかけるまでに至っている。

 

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