FRSゼミ:リーダーズセッション「コレクティブインパクトの実践とは」に出席して

2018年5月13日(日)、入学式に続き、さっそく最初の授業が行われました。

リーダーズセッションは「コレクティブインパクトの実践とは」。

講師は深尾昌峰さん。龍谷大学政策学部教授公共財団法人 京都地域創造基金 理事長、一般社団法人 全国コミュニティ財団協会 会長、株式会社 PLUS SOCIAL 代表取締役プラスソーシャルインベストメント株式会社 代表取締役会長を務めています。

 

コレクティブ・インパクトとは、立場の異なる組織(行政、企業、NPO、財団、有志団体など)が、組織の壁を越えてお互いの強みを出し合い社会的課題の解決を目指すアプローチのこと。
2011年、John KaniaとMark KramaerがSSIR(Stanford Social Innovation Review)で発表した論文”Collective Impact”で定義された言葉であり、個別アプローチにするだけでは解決できなかった社会的課題を解決する新たな試みとして発表された。

 引用元

Collective Impact(コレクティブ・インパクト) | グローバル・エンゲージメント・イニシアチブ

 

この「社会的課題を解決する試み」として紹介されたのが、コミュニティ財団、そして「東近江モデル」と呼ばれる東近江市での成果連動型補助金制度でした。

深尾さんが「お金がない訳ではない。お金が地方から出ていってしまう、そのお金の回り方が問題で、それを解決できる方法を模索している」と話したことが印象的でした。

自治体のガバナンス改革での、「従来の補助金政策は補助金を"正しく使う"ことに労力がかかりすぎている一方、成果につながっていない。」という言葉は大きく頷きながら聞きました。

深尾さんが提案した「社会的投資型」の補助金制度。「出資者を募り、その出資金が事業者にいく。成果が出たら、行政から補助金が執行され、出資者に償還される」という成果連動型の補助金です。試行したところ、出資した市民が事業に関心をもち、事業者は出資者のために成果を挙げる努力をし、行政は"政策アウトカム"を意識するようになった・・・と、三方良しの関係性が構築できた、とのこと。

「社会的インパクト投資」について、以前、本を読んだ時には、最初から最後まではてなマーク連続だった私。

インパクト投資」は教育や福祉などの社会的な課題の解決を図ると共に、経済的な利益を追求する投資行動です。

引用元

インパクト投資とは:Japan Impact Investment Taskforce / G8インパクト投資タスクフォース 日本国内諮問委員会

 

今回、具体的な事例を丁寧に説明いただいたお陰で、理解が随分深まりました。

ゼミの冒頭。ファシリテーターの鵜尾さん(日本ファンドレイジング協会 代表理事)から、「一つの質問、一つの提案、を意識して話を聞いてください」とのご指示がありました。「一つの質問」は、あまり苦労せず見つけることができました。「一つの提案」の方が難しい。今回は事前課題がなかったこともあり、自分の準備不足が情けないところ。次回は事前課題の時点で用意しないとなぁ・・・と思いました。

ダイアログの時間。

車座になり、参加者からの質問を講師が答える、質疑応答形式でした。

そこで印象に残ったことは、箇条書きに。

  • 寄付金活動の意義の一つに「課題の認知」がある。例えば、ドメスティックバイオレンス・引きこもり・犯罪被害など。課題が課題として捉えられない段階から捉えられるようになるプロセスそのものに意義がある。
  • 高齢化の問題があるコミュニティは「何のためにそのコミュニティが必要か」(存在目的)を考える必要がある。そして、お金を集めて何をするか=どういう事業をするかが問われる。
  • 大学の場合。資金運用をしているのであれば、その運用先(投資先)から社会貢献をできる。例えば、立地、教育の延長線上で有意義な活動をしている、など。または、教育資源そのものを有効活用することも。

最後に、今回の気づき。

ファンドレイジングとは、単なる資金集めではなく、社会的な課題を周知し、解決するための事業を計画し、その事業を実現するための資金を確保する、一連の社会を変える活動そのものである。

 

ファンドレイジング・スクール | 日本ファンドレイジング協会